2024年のご挨拶
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
皆様におかれましては新春を清々しい気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
皆様方にとって、2024年はどのような年になることでしょうか。
日本国内では、「2024年問題」「2025年問題」「2025年の壁」などのワードに示されるように、労働力人口減少等の環境変化に伴い各業務領域において変革が求められつつあり、その対応に迫られている/実際に対策を推進されている企業が前年に引き続き多そうです。
そのような動きに加え、日本国内ではなく海外における取組はどうなりそうか、以下考察を加えたいと思います。
コロナ等に伴う撤退の動きこそ一部見られたものの、日本企業のグローバル化の動きは増加傾向にあります。特に成長の著しいアジアや、GDPの高い北米・ユーロ圏への進出が顕著です。
<海外進出日系企業数>
出所:海外進出日系企業拠点数調査(外務省)よりACT加工
安定したマーケットとして欧米に進出する/製造拠点としてアジアに進出する/高い購買力を魅力に感じて中国に進出するといった、これまでの流れは今後もある程度は継続していくと思われます。
しかしながら、中国において2023年10月・11月と2か月連続で(製造業購買担当者景気指数)PMIが50を下回るなど、生産拠点あるいはマーケットとして多くの企業から重視されていた中国にて成長に陰りが見え、日系企業にとっては、転換期を迎えつつありそうです。
もはや「安く作れる」拠点ではなく、更に、「作れば売れる右肩上がりの」マーケットでもなくなりつつある中国において、各日系企業の優勝劣敗が明らかになろうとしています。
そのなかで、さらなる成長を望むのか、それとも現状維持で良しとするか、あるいは撤退を余儀なくされるかといった判断が必要になってくるでしょう。
上記選択肢の中で「撤退する」場合を除けば、中国は今後も海外事業の中で重要な拠点と認識されるはずです。
その場合、マーケティング力の強化/営業力の強化など自社の強みの再構成はもちろん必要ですが、特に成長期から次のステージ:成熟~衰退期へと移行しつつある(ように見える)中国においては、これまでの「イケイケドンドン」でのスピード重視/リソース投下による事業運営が難しくなりつつあることを認識すべきです。
今後は、リスク管理や収益性追求を中心とした管理によるガバナンス体制の構築が求められます。
例えば、以下のような悩みを抱えてはいらっしゃらないでしょうか。
- 海外子会社から事業計画や結果の定期報告はされているが、詳細は分からず、問題が起きたときの進捗報告も遅い。
- 親会社のコーポレート機能(経理や人事、総務等)は、子会社に対して統括機能(情報収集、分析、指導等)を十分に発揮できておらず統一感に乏しい。
- 海外子会社のリスクは一部の会社のみ把握しているだけで、全子会社のリスクを網羅的には把握できておらず、リスクが顕在化してから慌てて対応している
- トップ又はミドル経営層となる日本人派遣者は、係長・課長クラスで事業経験は豊富だが、経営マネジメント経験に乏しい。
- 派遣前の経営マネジメント研修は、ない、又は短い。(海外赴任者研修程度)
- 海外子会社のトップ経営層という稀な経験をした人材に対して、帰国後のキャリアパスの絵を示しきれていない。
- アジア各国における、会社機関や不正防止法等の法制度が不透明で、現地の専門家任せになっている。
- 親会社の内部監査は業務監査中心となっており、経営者に対する牽制機能というガバナンス体制は監査対象としては弱い。
- 海外子会社の内部通報はない/活用実績がほとんどない。
これまで、特に成長期にある国・市場においては、上記のようなオペレーションでも一定以上の成果(売上・利益)は得られていたことから特段問題になることはなかったものの、その過程で形成された、属人的かつブラックボックス化されたオペレーションが蔓延ってしまっているのが、多くの企業における現状です。
その市場が成熟~衰退期に差し掛かったとき、上記オペレーションを継続させることで、様々なリスクを検知できず、果実が蝕まれつつあることに気づかないまま負の遺産を作り上げていってしまう…そのようなバッドシナリオが現実のものとなる日が来るかもしれません。
ガバナンスの再構築を考えるに際しては、例えば以下に示す組織・体制面、プロセス面での仕組みづくりが重要となります。
このような観点に立ち、自社の海外事業について改めて振り返る機会を設けられてはいかがでしょうか。
- 組織・体制面
- 会社⇔海外子会社の関係性(統括機能のあり方など)
- 子会社経営陣へのガバナンスのあり方
- プロセス面
- グローバル人材の採用・育成
- 業務プロセスのコントロール
- グローバルでの情報収集(各社の財務報告、各国の法制度など)
一部繰り返しになりますが、ガバナンスのあり方・強弱については、市場(国)の成熟度合いや事業の発展度合いに応じてその方向性が異なります。
特にメスを入れたい地域から順に検討されることをお勧めします。
弊社も、上記に代表されるような様々な経営課題の検討・解決を下支えすべく、自己研鑽・クライアント企業様へのご支援を重ねてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
アクティベーションストラテジー株式会社
代表取締役社長 永松 正大